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では、すべて伝統文化に属する部分だと思います。でも、地域と文化を考えた場合、決して伝統文化だけではなくて、もう一つ、新しいものをクリエートしていくという創造文化というものがあるんではないかと思っております。
たまたま今回の調査で訪れた鹿児島県の屋久島。世界遺産に指定されたわけですけれども、ここには屋久杉、その中でも7,200年なんていう樹齢の「縄文杉」といったような大変貴重な、人類的に貴重な遺産があるわけです。したがって、これはこれからも保全していかなければいけないという意味で伝統的なものなんです。
ただ、この屋久島の中で今、「ゼロ・エミッション」といいまして、廃棄物を島の外に出さないで、その地域の中で処理していく。島だから、そういう実験ができるんですね。国連大学なども絡んで一つの壮大な実験が行われようとしている。それは島民の生活にも深くかかわっています。つまり島民の生活のあり様というか、ライフスタイルを変える。廃棄物を出さないということは行政だけがやってもだめなわけで、やっぱり1人1人の島民の意識の問題なんですね。そういう意味では、島の新しい文化をつくろうとしている。文化というと、とかく「伝統文化」に焦点が当たりがちなんですが、もう一つ「創造文化」といったものがあるんではないか。それから、伝統文化にしても単に守るだけではなく、そのよさを今の生活にいかにして取り入れていくのかといったような視点もまた大事ではないかと思います。
要するに、文化というのは、人間の精神生活、人間の心の問題、精神生活のよって立つもの、基盤になるもの、それが文化ではないかと思うんです。ということは、文化はさまざまなジャンルでいろいろなことがあろうかと思いますけれども、いってみれば地域をそれによってまとめていく、つまり求心力のあるもの。それがあることによって、そこに住んでいる人も、「なるほど、自分たちの土地にはこういうものがあるんだ」ということで誇りをもつようになってくる。そういうものではないか。だから、それは伝統的なものもあれば、さっきいったような創造的なものもあるであろうと、このように思います。
そういうことで考えていくと、地域と文化の問題はそう簡単なものではない。つまり、その中で文化を成熟させていくためには、かなりの時間がかかる。そういっては何ですけれども、鈴木さんも熊本でいろいろ悪戦苦闘されておられますが、熊本の長い歴史からいえばほんのわずかな時間であるわけで、焦らないでというか、じっくり将来に備えて布石を打っていくような、そういう取り組みもまた必要ではないかという感じがいたします。
鈴木委員長 そうですね。私もなるべく、後に残るものは何かということを考えて、一過性のものは、例えば去年やりましたけれども、獅子舞が熊本県下に50ぐらいあるんですね。だけど、調べて、その中でちゃんとした昔からの形をもっていて、これから後も続くだろうというのは11しかないんですね。ですから、この11を上演して、これの記録を全部
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